【従量区分の見直し】2025年4月から東電EPの市場調整項が時間帯によって4つ設定されるようになった。

昔から、高圧の電気料金の標準的な従量区分は、「季節別(夏とそれ以外)」「季時別時間帯別」の2つある。そもそも従量区分は、電力コストが高い季節や時間帯の電気料金を高くすることで、電力コストが安い時間帯にシフトすることを促すことが狙いである。電力コストを反映した電気料金の設定であれば、電力会社の収益変動のリスクヘッジになる。もしも、電力コストが高い時間帯に電力をたくさん使われた場合、もらえる電気料金が他の時間帯のと同じであれば、収益が悪化、最悪は逆ザヤになってしまうからである。

電力コストは、各社の電源構成で決まる。自社電源、相対契約による調達、市場調達など、調達量とそれぞれの調達単価で計算されるものであるが、30コマ単位で変動する。調達単価が変動する主な理由は、市場調達と燃料調整額付きの電源調達である。燃料調整額は月単位で変動するが、これは季節や時間帯によるものではなく中長期視点で予測するものである。市場単価は、まさに30コマ単位で変動し、季節(気温)や時間帯によるところが大きい。少なくとも市場価格の影響を受ける割合と変動幅を電気の従量料金に反映しておくことが収益変動のリスクヘッジになる。

太陽光発電が大量に増えて頻繁に昼間の市場価格が0.01円/kWhになっている今、これまでの標準的な従量区分に市場変動が反映されなくなってきていることは容易に想像できる。これが、東電EPが市場調整項を時間帯別にした理由である。他の旧一般電気事業者はまだ従来のままであるが、安定経営が重要視される自治体新電力は、電気料金に電力コストを反映するべきと考える。
筆者は2023年度から、十数社の自治体新電力で市場価格の変動を反映するために、季時別メニューの見直しをした。太陽光発電が少ないが、”需要が立ち上がってくる朝”と”需要がまだ落ちない夕方”に市場価格が高くなることや、中間期の昼間に太陽光発電が余ることで市場価格が安くなる傾向は全エリア共通であり、それを反映した従量区分を採用とした。結果、安定した収益を維持できている。

JEPXスポット月平均単価

東北エリア
東京エリア
関西エリア
九州エリア

2025.09.22 合津美智子

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