容量拠出負担金の対応を考える・・・

初年度の容量市場の約定価格が全エリアで上限値の14,137円/kWとなり新電力会社は重い負担を強いられた。翌年の2025年度の約定価格は前年比3割程度となり胸をなでおろしたのもつかの間、2026年度以降は年々上昇し、2028年度は東京以北では最高値をつけた。新電力の負担には経過措置で値引きがなされていたが、それも減率されていくため厳しい状況である。

自治体新電力では、容量拠出負担金を需要家にも負担してもらう方法で対応している会社も多いと思われる。需要家にどのように負担(配分)してもらうかは、負荷率の高い需要家と低い需要家がいる中で、公平となるような工夫が必要である。
少なからず需要家に負担してもらえば、旧一電の電気料金をベンチマークとした電気料金の削減額は減少する。2028年度になっても電気料金の削減ができるのか、また自治体新電力の利益は確保できるのかが気になるところであり、その検証はしておく必要がある。もしも削減ができなくなることが予想されれば、電気料金の見直しをする必要があるが、毎年見直しをするわけにもいかないので、容量拠出負担金の変動を吸収するしくみが必要である。

容量市場の約定額(円/kW)

エリア2024年2025年2026年2027年2028年
北海道14,1375,2428,74913,28714,812
東北14,1373,4955,8339,04414,812
東京14,1373,4955,8349,55514,812
中部14,1373,4955,8327,82310,280
北陸14,1373,4955,8327,6388,785
関西14,1373,4955,8327,6388,785
中国14,1373,4955,8327,6388,785
四国14,1373,4955,8327,6388,785
九州14,1375,2428,74811,45713,177

容量拠出負担単価(円/契約kW)は事業者によって幅がある。私の知る範囲では高い事業者は安い事業者の1.5~2倍になることもある。容量拠出負担額がいくらになるかは、広域からの見込額の通知が前年末に来るまではわからない。とはいえ、経過措置の値引率も考慮して約定価格の増減率で想定して検証するしかない。

需要家に負担いただく場合の公平性の考え方

負荷率の高い大きな需要家が増える時は要注意である。負荷率が高いとピークが重なる確率が上がるめ、翌年の容量拠出金単価(円/契約kW)が一気に上がる傾向にある。
容量拠出金はピークkWあたりの単価は全事業者で同じ(エリアごと)で、契約kWあたりにすると不等率によって単価が下がる。需要kWが増えた時には、ざっくり言うと前年の契約kWあたりの単価に当該月の契約kWを乗じた金額が容量拠出負担金となる。
需要家にもこの容量拠出負担金を負担してもらう場合に、契約kWあたりの単価で負担してもらうのは公平とは言えない。それは、負荷率の高い需要家がピークkWを押し上げているからである。例えば、わかりやすく容量市場の落札額が今年と翌年で同じとして考え、今年100円/契約kWだったとして、負荷率の大きな需要家が増えて翌年が130円/契約kWになったとすると、既存の負荷率の低い需要家のkWhあたりの増額は、増えた負荷率の大きな需要家のkWhあたりの増額よりも大きくなる。既存需要家からすると、小売電気事業者が新規に需要をとったせいである。このような不公平をなくすための工夫が必要である。

容量拠出負担金の対策

抜本的には容量拠出負担金を圧縮する策を考えるべきである。新電力会社の負担額はエリア最大発生時のデマンドのシェアで決まるため、方法としては以下が考えられるがどれも容易ではない。(そもそもエリア最大がいつ出るのかもわからないので・・・)
単に容量拠出負担を軽減するだけでなく、脱炭素効果も合わせて検討するのが良い
● 需要家のピークが分散されれば事業者全体のデマンドは下がるので、需要カーブの特徴が異なる業種の需要家を取り混ぜる
● 需要カーブのエリア最大が出そうな時間帯の電力シフトを需要家に呼びかける、もしくは空調制御などを導入する
● 自家消費太陽光を設置する
● オンサイト蓄電池でエリア最大が出そうな時間帯に放電する
● 自己託送を取り入れる

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